〜これまでのお話〜
「蒼き疾風」の異名を持つ、プラレスラー・十六夜。
十六夜は、東京・多摩市でプラレス・ショップ「STF(シマムラ・テクニカル・ファクトリー)」を営むマサキが、独自のアイディアを盛り込んで創り上げたハンドメイド・プラレスラーである。
ある日、STFに現れた蜘蛛型可変型プラレスラー「鬼蜘蛛」に、マサキの娘・ユウとプラレスラー・ワルキューレは窮地に陥れられるのであるが、ユウの同級生でありマサキの親友・T−REXの娘でもあるヒナとプラレスラー・ヴァルキリーによって窮地を脱する。
その「鬼蜘蛛」こそ、10年前の全日本選手権大会において、アスミのプラレスラー・月読と対戦、月読を破壊せんとした、正体不明の残虐非道なプラレスラーであった。
再び現れた得体の知れないプラレスラー・・・その目的は何なのか?漠然とした不安を抱きながら、夏休み恒例イベントであるFISTの「サマー・カップ」が開幕する。
様々なモデラーとの出会いの中、マサキの親友・T−REXのエキシビジョン・マッチで突如乱入してきた蝙蝠型可変プラレスラー「地獄の使い魔」。
T−REXの愛機であるプラレスラー・タイラントは傷付き暴走、「地獄の使い魔」は会場を去る。
都内のメカ・リングに頻繁に現れるようになった、可変プラレスラーの不可解な行動・・・そんな時、「地獄の使い魔」こと『降魔』と対峙した経験を持つロウによって、プラレス技術の軍事転用を目論む組織の存在が浮かび上がる。
その組織の目的達成の為には、マサキの十六夜とT−REXのタイラントが邪魔なのだと言う。
手段を選ばぬ組織であったら・・・家族に危害が及ぶ事を恐れ、苦悩するマサキ・・・このまま勝ち続けるべきなのか!?それとも負けるべきなのか!?
明確な答えの見出せないマサキの前に、正体不明の蠍型プラレスラーが現れる。
その闘いの最中、またしても姿を現した鬼蜘蛛は、窮地に追い込まれた十六夜を助ける為に蠍型プラレスラーを破壊する。
背後に暗躍する組織の仲間では無かったのか!?
操縦者本人を狙うスナイパーとの闘いを経て、サマー・カップは2日目を迎える。
十六夜のエキシビジョン・マッチの相手は、抽選により選ばれたプラレスラー・ZEROであった。
タヤマのゼクロスがベースと見られるZEROは、古武術とステルスを駆使して十六夜に挑むが、ZEROは突如として変調を来たし、ノー・コントロール状態に陥ってしまう。
足を止めての壮絶な激闘の末、互いに相打ちとなってマットに沈む十六夜とZERO。
両者KOかと思われた瞬間、立ち上がったのは十六夜であった。
辛くも勝利を収めたかに見えた十六夜であったが、ファイティング・ポーズを崩さない。
十六夜には見えていたのだ、会場にいつの間にか姿を現していた降魔の姿が・・・。
ZEROとの激闘によって受信機を失った十六夜には、最後に繰り出した技のプログラムしかメモリーに残されていない。
勝てぬと判っていながら尚も立ち向かう十六夜は、マサキに「新たな自分の為に、降魔の性能を見極めよ・・・。」と語りかけ、降魔の手に掛かってしまうのであった。
ZEROのオーナー・枝島ジュン、そして鬼蜘蛛のオーナー・土鬼らによって、断片的にではあるが明らかになってくる謎。
ついに姿を現す“真・十六夜”。
全ての十六夜は、この“真・十六夜”の為に存在したという・・・。
翌日、FISTの大会欠場をコミッショナーに告げたマサキは、“真・十六夜”を引っさげ、単身地下プラレスの会場へと乗り込んで行くのであった。
マサキと十六夜の闘いの果てに、何が待つのであろうか・・・。