〜プロローグ〜
カ―――――――ン!!
澄み切ったゴングの音色がここ「渋谷TOP・メカ・リング」に響き渡った。
大観衆が見守る中、中央のリングで互いに牽制しあう2機の大型プラレスラー。
プラレスラーの中でも最大級クラスの巨体とパワーを誇る、モスグリーンの機体、「ファースト・ステージ」ランキング12位の「クレイジーモンスター」とCモンスターほどの巨体ではないが、大型の部類に入る真っ黒な機体、「セカンド・ステージ」ランキング第1位の「タイラント」である。
歓声と怒声そして罵声が飛び交う異様な雰囲気の中、実況アナウンサーが絶叫する。
「さぁ〜、ついに入れ替え戦のゴングが鳴り響きました!賢明なるFISTファンの皆さんならご存知でしょうが、ここでこの入れ替え戦のルールをもう一度ご説明致します。
月に一度、ファーストステージランキング最下位のプラレスラーとセカンドステージの最上位ランクのプラレスラーとで行われる入れ替え戦!FISTで行われる試合において、最大の盛り上がりを見せるといっても過言ではないこの試合の勝者が、栄光のファーストステージにランクされるわけであります。
Cモンスターが勝利すれば移動は無し!そのままファーストステージに残留する事になりますが、タイラントが勝利致しますと、ファーストステージに昇格ということになります。
戦前の予想ではCモンスターがやや有利との情報も入っておりますが・・・
おお〜っと!ここでCモンスターが動いた!!」
ゴングがなっても微動だにしないタイラントにしびれを切らしたのか、先手必勝とばかりにCモンスターが殴りかかる。
ガキ―ンッ!!
Cモンスターのパンチがタイラントのボディを捉える。
バキッ!ゴキン!
動かないタイラントに向け、パンチを浴びせ続けるCモンスター。
「マシントラブルか?それとも反撃の糸口がつかめないのか?タイラント、やられ放題であります!!今までのセカンドステージでの闘いと比べても全く精彩を欠いております!」
アナウンサーが実況を続ける。
「はーっはっはっは!タイラント、噂ほどでは無いようだな!所詮セカンドステージのプラレスラーなんてそんなものか!」
満面の笑みを浮かべ、Cモンスターのオーナー、後藤が吠える。
まったく動かないタイラントをロープに振り、キチンシンク、ケンカキック、ラリアットと次々に技を決めていくCモンスター。
「そ〜れ、これでフィニッシュだ!!」
タイラントをボディスラムでリング中央に叩きつけたCモンスターを見て、後藤の指がキーボードを叩く。
オーナーのフィニッシュプログラムを受けたCモンスターがトップロープからダイブする。
ダイビングボディプレス!!
ド――――ン!!
リング中央で横たわっていたタイラントに向け、砕け散れ!!とばかりにCモンスターの巨体が舞い落ちる。
そのままフォールの体勢に入り、タイラントを押さえ込むCモンスター。
すかさずレフェリーロボ「JOE」がカウントを取りに近づく。
「ワン!…」
その瞬間、Cモンスターの機体がリングを支える鉄柱に叩きつけられる。
すでに勝利を確信し、余裕の笑みを浮かべていたCモンスターのオーナー、後藤は床にとどけとばかりに大きく口を開け、信じられないといった顔つきでリングを覗きこんでいた。
「な…なんだぁ!?どうしたモンスター!!何をされた?」
鉄柱に叩きつけられたCモンスターが体勢を立て直すと同時に、ゆっくりと立ちあがるタイラント。
そのタイラントの後方でキーボードを叩きながらオーナーの「T−REX」が口を開く。
「…おい、後藤さんよ。何をされた?って、奴(タイラント)はフォールを跳ね返しただけだよ。それよりも、あんたのCモンスターとやらは本当にファーストステージで闘っていたのか?あんな攻撃なんぞ1日中続けていたってタイラントはびくともしねえぜ!?」
T−REXの言う通り、ボコボコにやられていたはずのタイラントには、全くダメージが感じられない。
まだ叩きつけられたショックでフラフラしているCモンスターに近づき、立ちあがるのを待つタイラント。
「むうう!ナメやがってぇ!!モンスター!MAXパワーでその出来そこないを叩き潰せぇぇぇ!!!」
顔を真っ赤にしながらCモンスターに指令を送る後藤。
MAXパワーで打ち込まれたCモンスターの右ストレートがタイラントの顔面に炸裂する。
・・・しかし、倒れるどころか何事も無かったかのように、平然としているタイラント。
「タイラント、もう十分だろう。ファーストステージといってもこいつは最下位ランクのザコだ。所詮こんなもんだよ。」
呆れた目でCモンスターと後藤を見つめ、冷たく言い放つT―REX。
「せっかくの入れ替え戦だからもうちょっと楽しもうと思ったが、これ以上は時間の無駄だ。一気に決めるぞタイラント!」
T−REXがキーボードを叩き、それに呼応して動き出すタイラント。
MAXパワーで攻撃をした為か、動きが緩慢になっているCモンスターに向けてタイラントのボディブローが腹部を貫く。
ゴス!!!
腹に攻撃を食らい、動きの止まったCモンスターを一気に担ぎ上げるタイラント。
Cモンスターの巨体を軽々と逆さまに持ち上げ、自らの肩口にモンスターの頭部をフックし、両脚を抱え込み・・・
「それ!タイラント、フィニッシュだ!」
青ざめた後藤を横目に、T−REXがファイナルキ―を押す。
オーナーの指令を受けたタイラントがCモンスターを抱えたまま大きく飛びあがり・・・
空中で旋回しながらリングに着地。
「ファイナル・バスター!!!」
グシャアァァァァ!!!
ファイナルバスターを食らったCモンスターは首と両脚が付け根からバラバラに砕け散ってしまい、ピクリとも動かない。
もちろん後藤のパソコンは既になんの反応も示さない。
カンカンカンカンカンカンカンカンカン!!!!!!
試合終了を告げるゴングが鳴り響く。
「タッ…タイラント!壮絶なKO勝ちです!!入れ替え戦はKO勝ちにより、タイラントの勝利です。
ここに新たなファーストステージの戦士が誕生致しました!!なお、敗れたクレイジーモンスターはセカンドステージに転落となりますが、あの様子ではしばらく再起不能でしょう!!・・・・・・・・・」
アナウンサーが新たなファーストステージプラレスラーの誕生を興奮した様子で喋りつづける。
そんな様子を口元に笑みを浮かべ、冷静に見つめている男が2人居た。
一人はタイラントのオーナー、「T―REX」。
そしてもう一人は・・・
十六夜のオーナー、「マサキ・シマムラ」であった・・・。
「さあ、ここで勝利者であるタイラントのオーナー、T―REXにインタビューしてみましょう!まずはおめでとうございます!!では今のお気持ちをお聞かせ下さい!!」
興奮しきった様子の赤ら顔のアナウンサーがT−REXにマイクを向ける。
しばらく押し黙った後、大きく息を吸い込み、マイクなど要らないほどの大声量でT−REXは喋り出した。
「…ま〜たせたな、マサキよ!!今まで(タイラントと十六夜の)私闘は数知れずだが、これでやっと公式の舞台でテメェをブチのめす日がやってきたぜ!!
ファーストステージ次期チャンプ候補だって!?
安心しろ、この俺様が来たからにはそんな重荷を取っ払ってやるぜ!!首を洗って待ってろや!ガーハッハッハッ!」
声高らかにT―REXの笑い声が響き渡る。
その様子を控室のTVモニターで見ていたマサキが呟く。
「そうだな、T−REX。これでファーストステージも面白くなる。俺達の決着の舞台にはふさわしいだろう。」
ファースト・ステージを舞台に彼らの果てしない闘いが今、始る!
プロローグ ―完―
―あとがき―
いやあ、文章を書くって難しいですねぇ。
頭の中ではああしたい、こうしたいと色々アイデアは浮んでくるのですが、それが文章として表現できない。
もどかしい!
次の第1話では、T−REXの人物像、マサキとT―REXの関係についてお話を展開させていきたいと思います。
作中でタイラントがCモンスターを粉々にした「ファイナルバスター」という技は、某キン肉星の王子(今は大王か?)の必殺技でありました、「キン肉バスター」です。
知らない人はごめんなさい。 では。