オリジナル・ストーリー「PURE」

 

 

(註)この物語はフィクションです。登場する団体名、企業名、商品名など、実在の物とは一切関係ありません!。

Pla-wrestler Developer’s Story...

「PURE」

〔Pla-Wrestler’s Underlying a REvolution〕

 ―――その男は、真夜中の電話に不機嫌に目を覚ました。

 枕許のスタンドを点け眼鏡を掛けると(眼鏡を掛けないと電話の位置がわからないほどの近視である)充電中の携帯電話に手を伸ばす。

 その電話の傍らに、工具箱を椅子変わりにラフに腰掛けた一体のプラレスラーがあった。

 

第1章「BEGINNING」

 プラレスラー「ZEPHERED(ゼファード)」、彼のプラレスラーである。

 「ゼファード」は、模型メーカー「TAYAMA」から市販されている「ZECROSS−U(ゼクロス2)」というプラレスラーをベースに彼が改良を続けている物だ。

 「タヤマ」は模型メーカーとしては老舗だが、プラレス参入は遅れた。

 実は、今のプラレス業界において模型メーカーは肩身の狭い思いをしている。

 現在、プラレスラーの市販メーカーの最大手は、自動車メーカーの「恩田技研工業(ONDA)」である。

 「ONDA」は古くからロボット工学を研究してきた実績があり、あっという間にプラレス業界のトップに踊り出た。

 その後も「ONDA」に続けとばかりに、重農機メーカー「ヤマカワ発動機」、家電メーカー「イタチ製作所」など様々な業種からの参入が続き、次々に模型メーカーを追い越していった。

 さらに海外では、アメリカ「マサチューセッツ工科大学医療チーム」、フランスの軍事メーカー「Dassault(ダッソー)」などの参入が話題となっている。

 ただし、軍事メーカーの参入には批判も多い。

 プラレスラーを最初に開発したのが模型メーカーであるにもかかわらず、先述のような他業界に席巻されているのには理由がある。

 それは、プラレスラーはプラモデルではないという事である。

 素人目にも解るように、プラレスラーはロボットであり機械工業製品である。

 ところが模型メーカーには模型に使用するネジ1本すら自作する技術は無く、金属加工業者へ外注している。

 そういう1mm以下のミクロン単位の精密加工技術がプラレスラーには必要だったのだ(プラスチックは元々そこまでの加工に耐え得る素材ではないので、模型メーカーにはその技術がない)。

 さらに「ONDA」にはロボット工学、「ヤマカワ」にもパワーシャベルなどのノウハウがある。

 つまり、模型は所詮模型だったという事である。

 さらに、それ以上にこれら企業と模型メーカーでは決定的に差があるものは、なんといっても元々の資金力である。

 売買している商品の単価が違う。

 本物の自動車メーカーと、その模型を作っているメーカーの基礎体力の差だ。

 敵う訳がない!。

 ただし、その模型メーカーの中でも「タヤマ」は別格である。

 模型メーカーとしては間違い無く日本一、世界的にも有数の大メーカーである。

 その「タヤマ」の満を持しての参入には、他の模型メーカーも固唾を飲んで注目している。

 “「タヤマ」で駄目ならもう駄目だ”という危機感もあり、場合によってはプラレスから撤退する模型メーカーも出るだろう。

 「タヤマ」の参入は正に模型業界のプライドを賭けた他業種への反撃である。

 敗北は許されない!。

 「タヤマ」初のプラレスラー「ゼクロス」(「ゼクロスーU」発売と同時に廃版)は、実は性能的には何の特徴もない至って普通のプラレスラーだった。

 ただし市販プラレスラーとしては初めて、専用の改造用オプションパーツを同時に大量に発売した。

 そこには、かつて同社が一世を風靡した「ミニ4駆」の経験が生かされている。

 「ゼクロス」は史上初“改造を楽しむ”プラレスラーとして完成した(もちろんその改造によってある程度の性能が発揮されることが条件である。でなければ意味はない。そこらへんが「ミニ4駆」の経験である)。

 そして「タヤマ」の目論見通り、「ゼクロス」は低年齢層にウケた。

 そしてプラレスの競技人口を一気に増加させ“「タヤマ」のプラレスラー”というブランドを定着させることに成功した。

 さらに、「タヤマ」では毎年1回「ゼクロス」だけのワンメイクマッチ「ZECROSS−CAP」を開催。

 参加者は年々増加し大会の規模も拡大、試合内容もより高度になり、その結果「ゼクロス」というプラレスラーの性能も急速に上昇していった。

 つまり全国のユーザーが「ゼクロス」の開発に参加したわけだ(実はこれが「ZECROSS−CAP」の本当の目的だったりして…)。

 そして現在市販中の「ゼクロス−U」型では、その性能は他社に追いついている(と「タヤマ」は自負している)。

 ―――

 男は、電話を取るなり大声で怒鳴った。

 「どこの馬鹿野郎だ?!。いま何時だと…!!」

 「ニック!。すまん、こんな時間に!」

 電話の主は、こちらが言い終わるのも待たずに話し始めた。

 相手の声からは、かなり切羽詰まったものを感じる。

 その電話の主は何と「タヤマ」だった。

 「主任?」

 上司からの電話に慌てて目を覚ますが、またもや話し終わるのを待たずに相手は続ける。

 「すまん!、えらい事になった!。今すぐ来てくれるか!?」

 「いっ、今から?。いったい何が…?」

 「電話じゃあ言えない!。とにかく来てくれ!。今すぐだ!」

 「わわわ解りました!」

 彼―「ニック」は電話を放り投げるとベッドから飛び起きた。

 事態は一刻を争うらしい。

 身支度もそこそこに愛車へ駆け込んだ。

 「ニック」というのは彼の「タヤマ」社内での呼び名である。

 もちろん本名はあるが、訳あって偽名を使用している。

 実は彼は「ZECROSS−CAP」第2回優勝者という肩書きを持ち、現在は「タヤマ」の準社員となっている(「ZECROSS−CAP」にはこういう人材発掘という目的もあったのだ)。

 しかしなぜ“準”社員なのかというと、彼が担当しているのは、プラレスラー「ゼクロス」=社内開発コードネーム「ゼファード」シリーズの研究開発および“社外実験”なのだ。

 そのための偽名である。

 対外的には、彼は「タヤマ」とは無関係の人間である。

 なお、彼の仕事は「市販パーツ及び市販予定パーツの実地試験」が主である。

 そのため彼の「ゼファード」、正式名称「ZEPHERED MARKZ EXIV(Expansive Infinite Variation=「無限の変化する拡張性」の意)は、全て市販又は市販予定のパーツで製作されている。

 とはいっても、メーカー自らの手によるワークスマシンである。

 その性能は計り知れない。

 さらに「タヤマ」社内には、販売を前提としない採算度外視の実験機も数機存在するという。

 ―――

 ニックは制限速度無視で愛車を走らせた。

 行き先は「タヤマ静岡工場」。

 途中検問に引っかかったりして時計な時間を食ったりしたが、その検問が目的地に近づくにつれて増えていくのに気が付くと、さらにアクセルを踏み込まずにはいられなかった。

 彼は非常に嫌な予感に刈られていたが、この事件が単なる発端に過ぎない事までは想像つかなかった事だろう。

 to be Next.

 

〜あとがき〜

 一体どれ程の人がこの文章を読んでくれているのか?。想像もつかないが、みなさんどう思われたでしょうか?。私もこーゆー小説仕立ては初めての体験なので、恐らくは読みづらかった事でしょう。

 まず、みなさんの素朴な疑問にお答えします。「プラレスラーは?」とか、「プラレスの試合は?」とか思っているでしょう?。プラレスラーは次話から出ます。実はこの作品ではリング上での試合というのは、ほとんど予定ありません。私は人と同じ事をするのが大っっ嫌いな人間なので、プラレスの話を書けといわれても「プラレス好きの少年の成長過程」なんて話は死んだって書いてやるもんか!。本作品のテーマは「プラレスラーメーカーとその開発者の苦悩」です。そのため周辺環境の綿密な設定が必要になり、第1話はこのような世界設定の説明に終止しました。一見だらだらと意味のない設定を並べているように見えたでしょうが、実は重要なことだったのです。ネタフリも兼ねています。

 プラレスラーはロボットと言い切ったのも、プラレスラーを作るなら模型メーカーより重工業メーカーだろうというのも私の持論です。多分合っていると思います。

 本当はメーカー名は実名でいきたかったのですが、諸事情を考慮して国内メーカーに関してはちょっとモジってみました。でも、どこの事を言っているか分かりますよね。そのブランドイメージが必要なんです。「ダッソー」は実在の軍事メーカーです。ミラージュ、ラファール等のジェット戦闘機が有名、ラファールは美しいです。さすが芸術の国の軍事メーカー(?)。

 今後の展開は頭の中では既に完結していますケド、それをちゃんと文章に出来るかが問題です。頑張りまっス。登場予定のプラレスラーのクリンナップも上げなきゃいけないし、挿し絵も描かなきゃいけないし、あー問題山積っっっ!

 2000年 初秋  泪橋

 

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