〜第4話〜
遭遇
バトルが済み、3人の姿は同じ屋上にある、ファースト・フードの前に在った。
ケンタは仲間に「本日の解散」を告げ、キャリー達と会話していた。
同時通訳をしているクランキーは、さすがに喉が渇くのか、アイスコーヒー片手に忙しそうに言葉を伝えていた。
「そうか、父さんを探して・・・。大変だな。」
ハンバーガーをほお張りながら、ケンタが呟く。
そして、ふと思い出したように言葉を続ける。
「最後の技、なんて言うんだい?」
身を乗り出すようにして訊ねるケンタ。
「あれは、僕らのトレーニングしている截拳道という拳法があるんだけど・・・。」
「じ・・・じーくんどお??」
聞きなれない言葉に首をかしげるケンタ。
「そう、昔ブルース・リーという人が始めた拳法の技の一つで、1インチパンチっていうのが有名かもね。」
腕を突き出し、真似てみせるキャリーとクランキー。
「へえ〜、よくわかんないけどすごいことやってんだなぁ。」
残ったポテトを一気にほお張り、コーラで喉に流し込みながら感想を述べる。
「日本にも似たようなタイプのプラレスラーがいたと思ったけど・・・。」
「!! ケンタ君、それは本当かい!?」
クランキーは訳すのも忘れ、聞き返す。
「あ、うん。たしかアメリカで開発された技術って言ってたけど・・・。でも、バトルの相手がいつも再起不能になっちゃって。で、「FIST」から追放されて地下に潜った、とか言ってたなぁ、確か・・・。」
急に表情の険しくなったクランキーに気づき、彼の顔を覗きこむキャリー。
「キャリー、もしかするとジムの手がかりが掴めるかもしれないよ・・・。」
言いかけて、ふとこちらに向けられてる視線を感じ、クランキーがゆっくりと振り返る。
はたして、そこには黒いスーツにサングラスという、およそデパートの屋上とは縁のない女がこちらの様子を伺う様に佇んでいた。
クランキーと目が合うと、女はゆっくりと移動し始めた。
「キャリー、ここで待っててくれ!!」
テーブルに向き直ったクランキーが、キャリーの返事も待たず、脱兎のごとくその男目指して走り出す。
「え、ちょっ、どうしたんですか、クランキーさん!!」
キャリーも立ち上がり、彼の後を追おうとする。
「すぐ戻る! そこで待ってるんだ!!」
振り向いてキャリーを制すと、クランキーは人ごみの中へと消えていった。
「パパの手がかり・・・。一体何が起ったんだろう・・・。」
突然の出来事に、キャリーは動揺を隠すことが出来ず、呆然と立ち尽くすのみだった。
黒いスーツの女は非常階段に向かったようだった。
一度は見失ったのだが、偶然中に入るところを発見した、というよりも女が自分を待っているようにも思えた。
(私は、あの女を知っている!!)
(いや、ただのデパートの客だろう!? しかし・・・)
頭の片隅がチリチリする。
そんな感覚に戸惑いながら必死に追いかけるクランキー。
何の確証もなく、誰なのかもまったく思いだせないまま・・・。
「バタン」
通路の先で扉の閉まる音がした。
「くそっ。一体何だっていうんだ!!」
ノブに手をかけ、一呼吸おいて扉を開ける。
踊り場に入ると、黒いスーツの女がまっすぐにクランキーを見ていた。
「日本へようこそ、クランキー!! ふふふっ。」
北京語である。
だが女は歓迎の言葉とは裏腹に、蛇が獲物を狙うかのような手刀を繰り出してきた。
中国拳法の流派のひとつ、蛇拳である。
「ちっ!!」
とっさにかわしたものの、続けざまの攻撃に防戦一方となるクランキー。
「あらあら、上達してないわねぇ、クランキーったら・・・。」
余裕たっぷりに女は話し掛ける。
蛇の牙は容赦なくクランキーをついばんでいた。
(日本で北京語? 蛇拳!? しかも私の名を知っている!? )
ますます混乱し、動きに精彩を欠くクランキーの鳩尾に強烈な一撃が入る。
「ぐっ・・・。」
「・・・ジムは無事よ。でもまだ会う時期ではないわ。あと少しRAPを極めてね。じゃ、そういうことで。さよならクランキー。キャリーによろしく、またね。」
かるく埃を払う仕草をみせて、女は非常階段を下りて行った。
壁にもたれ掛かり、朦朧とする意識の中で、ようやく女の名前が思い浮かぶ。
(彼女は確か・・・。しかしなぜ日本に・・・。ジム・・・。)
そのまま彼は気を失ってしまった。
1時間後。
女は都内の小さなビルの一室に入っていった。
中には窓の外を眺める一人の男が立っていた。
「戻ったわ、ジム。」
ジムと呼ばれた男がゆっくりと振り向き、笑顔をみせる。
まぎれもなく、キャリーとクランキーが捜し求めるジムその人であった。
fin
「次回予告!!
ついに姿を現したジム。だがクランキーを倒した女との関係は?
はたしてジムとキャリーは再会できるのか!? そしてキャリーのリー・Jrに異変が!!
第5話 焦燥
さあ、たいへんだ〜〜〜〜!!」
〜あとがき〜
う〜、みなさんレベル高いっす。なんか恥ずかしくなってきました(泣)
早いとこ「オーラ・プログラム」終わらせて、読み手オンリーになりたいっす。
でも終わりがみえなくなっちゃいそう(笑)